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Channel: 北川原温建築都市研究所 | Atsushi Kitagawara Architects Inc.
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北野建設長野本社

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北側外観。外構は濃紺のアルミ複合板とブルーグレー色のLow-Eペアガラスからなる。茶室露地空間にはトップライト下のテント膜越しに、柔らかな光が差し込む。西側外装の見上げ。最上階の食堂張り出しは約3.3m。外装の見上げ。アルミ特注押出材縦ルーバーと横ルーバーで構成され、横ルーバーは雪庇やつららが発生しにくい形状をモックアップで繰り返し検証を行った。北西角からの外観。上部の食堂の張り出しは約3.3m。外装ファサードの見上げ。光の当たり方で変化するルーバーは1本ずつ現場にて施工された。パッシブデザインの観点から採光と日射遮蔽を考慮した特注のアルミ押出材を配したファサード構成。エントランスホールと待合スペースとの間仕切りとなる縦ルーバーの内側にはボアホールによる地中熱を利用した冷温水式の放射冷暖房を設置。インテリアデザインはデンマークのNorm Architectsの協力による。茶室露地空間。茶室の平面は以前のままで、手水鉢と飛び石は再配置し、右側の黒漆喰壁や一二三石が埋め込まれた土間は新たに計画された。黒漆喰壁の足元、壁上部やトップライトの角にはRを付け、エッジが見えない工夫がなされている。茶室より露地を見る。吉村順三先生が設計し、以前は旧本社にあった茶室「看雲庵」を新本社ビルの9階に移築。9階食堂へ至る通路から光庭を見る。9階食堂に隣接する光庭。中間期の社員の憩いの場。室内の灯りが外装アルミルーバー材に反射する夜間景観。高品質、高付加価値を表象した新本社ファサード。品のある柔らかな空間が演出される。夜間は外装ルーバーの隙間から室内の灯りがにじみ出す。01_配置図210702L-01-0203_1階配置平面図210702-0204_平面図210702-0205_断面図210702-0206外装詳細図1_210702-0207外装詳細図2_210702-0208茶室断面図210702-02

北野建設旧長野本社は昭和34年に新築されて以来、社業の拡大に伴い吉村順三先生の設計により増築を重ねてきましたが、建物一部の老朽化が著しくなり、建替え計画が急がれていました。

計画に先立って取得した南側の隣接地は敷地を分断する形で車道に面していたため、開発許認可の観点からも既存道路の変更が検討されました。設計の可能性を広げる解決策を協議した末、細街路の一部を廃道とし、L字型に通り抜けられる別の道を付け替えて動線の妨げを回避させることになりました。

新たな本社棟は、基準階床面積の最大化を図るべく、道路・隣地斜線制限に対し天空率による規制緩和を行い、旧棟とは90°回転させた設計としました。そして建築の外形ボリュームを最小限にするため北側の道路まで8mセットバックさせたことで、地域に開けたオープンスペースを生み出し、当街区の都市景観は一新されました。外構全体に淡いグレーの筋模様が特徴的な白御影石を用い、建物とのコントラストが映えるデザインとなっています。

こうした周辺地域への配慮・貢献と並び、もう一つの課題であった災害時のBCP(本社機能の事業継続計画)対策として基礎免震構造を採用しました。これにより上部鉄骨躯体の軽量化とともに約13mの無柱空間が実現しました。さらに、地中熱を利用した冷温水式の放射冷暖房システムや太陽光パネルといった、自然エネルギーを活用した環境設備を積極的に導入しています。

茶室「看雲庵」の移築では、吉村順三先生による豊かな空間性を守りながら導入空間に工夫を凝らしました。例えば手水鉢や飛び石の再配置、露路の黒漆喰壁、さらには土間の一二三石のデザインや天井採光など、法規制の条件を適えつつ茶室の精神性を損なわないよう細心の注意を払いました。

なお、エントランスホールや応接室などのインテリアデザインの一部は、デンマークのNorm Architectsの協力によるものです。


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